せんだいメディアテーク

基本データ
所在地 宮城県仙台市青葉区
発注者 仙台市
設計 伊東豊雄建築設計事務所
竣工 2000年8月
延床面積 21,583.77m2
地上階 7階
地下階 2階

せんだいメディアテーク

建設エピソード

01.どうしてできたの?

せんだいメディアテークはどういう施設なんですか?
「メディアテーク」とは、本来はフランス語で「メディアを収める棚」という意味。せんだいメディアテークは、その名の通り書籍や映像、音楽などの収蔵・閲覧・鑑賞ができる施設なんだけど、それだけでなく建物内にはギャラリーやシアター、編集スタジオやワークショップも行えるオープンスペースを備えているんだ。つまり、美術や映像文化の活動と発信の拠点となる市民文化施設というわけ。もともとは市民ギャラリーの改築の設計の際に、市内で一番古い図書館を複合させる計画が持ち上がり、それならばただの複合施設ではなく、メディアをキーワードにさまざまな機能が集まる文化施設を目指そうというコンセプトで建設されたのがせんだいメディアテークなんだ。

特徴的な構造デザインについて教えてください。
せんだいメディアテークは、斬新な建築作品として、国内のみならず海外のメディアにも数多く取り上げられているんだ。柱と床面を直結する「フラットスラブ構造」、チューブの柱、透明感のある正面デザインという三要素で構築するという、着想段階から目指した基本原理。これがシャフトと、フラットスラブだけという最低限の構造要素で具現化されていて、これは「流動性」「透明性」「軽快さ」という建築コンセプトに違わない斬新な建築作品になっているんだ。つまり、構造・設備・機能・空間の一体化を実現した建造物。それがせんだいメディアテークであり、世界が注目する特徴的な構造デザインなんだ。

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02.えっ!そんなドラマが?

1枚のFAXから生まれた建造物だそうですね。
驚くことに、構造設計者の佐々木氏が、建築家の伊東氏のデザインスケッチをFAXで受け取ってから実質1か月足らずで、完成時とほとんど変わらない構造コンセプトが作られたんだ。佐々木氏が最初に受け取ったFAXは、衝撃的なスケッチだったそう。それは、ひとつひとつ形の異なるチューブの柱が海藻のようにゆらゆらと揺れながら数枚のうすい床を支えるというもの。佐々木氏はそのオフィスビルとして前代未聞のアイディアを構造的に読み取り、すぐに設計にとりかかりコンセプトを短い間につくりあげた。それは建築家と構造設計者の間で、「流動性」「透明性」「軽快さ」というコンセプトが最後まで共有されていたからなんだ。

そうはいっても試行錯誤もあったのでしょう?
昨今、建築家のイメージが多少現実離れしたものであろうと、「現代の構造設計技術をもってすれば何でも実現できる」という建築界の雰囲気が醸成されたのは、せんだいメディアテークの影響とも考えられるほど、せんだいメディアテークの構造設計は斬新なもの。でも、実際の現場では、抽象的で詩的な建築家のイメージと現実的な構造をどうマッチさせるか、構造設計者が建築家とコンセプトを常に共通認識し、緻密な応答を繰り返すことこそが重要なんだ。せんだいメディアテークも例外ではなく、現場では着工から竣工まで生みの苦しみの連続だった。この斬新な構造デザインは、1枚のFAXをスタートに、経験と知識を総動員してくみ上げた構造計画の賜物なんだ。

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03.すごい!そんな技術が?

空調システムはどのようになっているのですか?
独特の構造を持つ建造物だから、空調のシステムにも工夫が施されているんだ。コスト面では、南側の二重ガラス面(ダブルスキン)と、上部が開閉する仕組みによって空調コストを軽減。夏はこの仕組みで上部を開放することで、内側に上昇気流を起こしてガラス面を冷却する。逆に冬は上部を閉め、断熱性の高い空気層をつくるというものなんだ。

チューブの活用も工夫されているのですね。
せんだいメディアテークの象徴的なチューブは、採光・配管・動線の役割を兼ね備えているんだ。屋上の採光装置が太陽光を反射し、チューブを通して建物内部に取り入れる。また、ネットワークや空調などの設備配管、配線としての利用に加え、エレベーター、階段など人の垂直動線を通すパイプとしても利用しているんだ。この部分をとってみても、構造・設備・機能・空間が一体化した設計になっているのが分かるというわけだ。

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04.その伝説ほんと?

各階全てレイアウトが異なるって本当ですか?
せんだいメディアテークは、空間の「切り分け」を極力避け、各階が基本的にワンルームのように設計されているんだ。壁などの建築要素で空間を明確に「切り分け」ないことで、さまざまな活動領域が相互に浸透し合っている。ここで壁に代わって内部空間の機能や枠組みをゆるやかに規定するのが13本のチューブなんだけど、これは、形状と太さがすべて異なり、平面上の配置もランダムなんだ。家具もそれぞれの階の目的に応じて全く異なるデザインとレイアウトにアレンジされている。各階の使われ方に応じてそれぞれレイアウトが異なることで、流動的な空間を形づくり、それは同時に、人々の行為を誘発することにつながっているんだ。

近代建築を超える新しい建築形式だと言われていますね。
近代建築の基本である、「柱」と「梁」の骨組で建物を構築する「ラーメン構造」とは一線を画しているのが、そのような評価をされている所以。せんだいメディアテークでは、プレートと呼ばれる均質な床面の中に有機的なチューブを挿入することで、抽象的な空間に変化を与え、そこを身体的なよりどころとしている。その結果、近代建築がひきずる「空間」と「機能」の概念から脱却し、人のアクティビティ、空気、応力のひずみなどを生み出す「異質な場」を発生させることに成功しているんだ。ちなみに、せんだいメディアテークは、(財)日本産業デザイン振興会による2001年度グッドデザイン大賞を受賞しているんだ。

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