雁坂トンネル

基本データ
所在地 埼玉県秩父市
発注者 国土交通省関東地方建設局
竣工 1997年3月
構造・規模 総延長6,625m

雁坂トンネル

建設エピソード

01.どうしてできたの?

雁坂トンネルとはどんなトンネルなんですか?
雁坂トンネルとは標高1,200メートルに位置する山岳トンネルで、一般国道140号の埼玉県秩父市から入って雁坂峠をくぐり、山梨県山梨市を終点としている。その距離は実に6,645メートルで、一般国道としては日本最長を誇っているんだ。着工は1988年に山梨県側から始まり、10年におよぶ難工事のすえに98年4月ついに開通。埼玉山梨両県の行き来にかかる時間が大幅に短縮されたうえ、周辺地域の発展にも大きな貢献を果たしているんだ。

どうして標高1,200メートルもの高地に、これほど長いトンネルが必要だったんですか?
雁坂トンネルが通る一般国道140号は、埼玉県と山梨県を直接結ぶ唯一のルートなんだ。ところが県境にまたがる雁坂峠は、急峻な地形を楽しむハイキングコースが通るだけで、峠を挟む前後10キロは車の通行ができない「開かずの国道」となっていたんだ。地元の人々にとって、峠を車で通過できる雁坂トンネルの開通は、長年にわたる悲願ともいえるプロジェクトだったんだよ。

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02.えっ!そんなドラマが?

これほど大規模なトンネル工事だと危険も多かったのではないですか?
県境より山梨側の地質は、圧縮されたバネのような岩盤で構成されているんだ。このようなところでトンネルの掘削をおこなうと、岩盤がトンネル内の空間に向かって伸びようとして、一瞬のうちに弾け飛ぶことがあるんだよ。この現象を「山はね」といって、大きいものだと畳一枚くらいの岩盤がものすごい音とともに飛んでくるんだ。そこでトンネル内での作業では、最新の計測技術を用いて岩盤内部の微少地震波を測定し、常に事故の防止に備えていたんだ。

大自然の中でのトンネル工事は環境への配慮も大切ですね。
雁坂トンネルのルートは、面積126,259ヘクタールを要する秩父多摩甲斐国立公園の地下を横断しているんだ。そのためトンネル工事を着工する20年も前から、自然の生態と景観に与える影響について慎重な調査が進められてきたんだ。同時に経済性をはじめトンネルの設計や工法、そして防災面での安全性なども検討され、ようやく現在の雁坂トンネルが実現したというわけなんだ。一般国道としては日本一となる6,645メートルとという長さも、地上に広がる国立公園の大自然の生態系に配慮した結果なんだよ。

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03.すごい!そんな技術が?

これだけの長いトンネルをどうやって掘ったのですか?
まず1988年に山梨県側から、続いて91年に埼玉県側から掘削工事を開始。そして94年に無事貫通式がおこなわれたんだ。その工法は「新オーストリアントンネル工法(NATM工法)」と呼ばれるもので、ダイナマイトで岩盤を掘削した後、ただちに吹き付けコンクリートで岩盤を固めてロックボルトを打ち込む。これによって地山自体の保持力を利用することができ、1970年代以降、山岳トンネルの掘削工事ではよくおこなわれる工法なんだ。ちなみに「新オーストリアントンネル工法」という名前は、山岳トンネルが多数建設されているオーストリアの技術者によって提唱されたことから来ているんだよ。

険しい山地を通る雁坂トンネルでは、どのような安全対策がとられているんですか?
急峻な地形に加えて6,625メートルもの長さを持つ雁坂トンネル。そのため24時間集中管理体制のもと、安全かつ円滑な交通が確保できるよう、細心の注意が払われているんだ。また万が一の災害時に備えて、車が通行する本道と並走する形で避難トンネルが通っており、本道とは約400メートル間隔に設置された連絡道によって結ばれているんだ。さらに排煙やホコリを除去する集塵機室、巨大排風機によるトンネル内の換気もおこなわれ、ドライバーが常に良好な視界で運転ができるよう配慮されているんだよ。

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04.その伝説ほんと?

雁坂トンネル周辺の街道が、由緒正しき古道であるというのは本当ですか?
「秩父往還」「雁坂越え」という言葉が今も残るように、雁坂トンネル周辺の一般国道140号は、古くから生活物資の交通路として利用されてきたんだ。とりわけ昭和の初めまでは、養蚕の道としてさながら「日本のシルクロード」といった趣を呈していた。また秩父札所への参拝など信仰の道としても親しまれていたし、戦国時代の甲斐(山梨県)の武将、武田信玄はこの道を重要な軍事用路と定めていたんだ。さらに『日本書紀景行記』には、「日本武尊が通った」との記述もあるから、この周辺の街道がいかに長い歴史をもつか、そして雁坂トンネルの開通がいかに画期的であったかがわかるよね。
掘り起こされた土石が再利用されているというのは本当ですか?
トンネルの掘削作業によって掘り出された土石を「ズリ」というんだけど、雁坂トンネルはその総量が東京ドームの体積にほぼ匹敵する105万立法メートルにものぼったんだ。雁坂トンネルでは、ズリ搬出専用のトンネルを建設して、指定の沢筋にズリを集めて埋め立て処理を実施。そして周辺に自然生育している草木を同じ種子や肥料の混じった土壌を吹きつけて緑化を即し、自然環境を復元させる処置をとっているんだ。他にも「道の駅」として、ドライバーの休憩施設やチェーンの着脱所、さらには緊急時のヘリポートなど、ズリは様々なところで無駄なく再利用されているんだ。

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